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虫歯になっちゃった!!どうやって治療する?

  • 院長コラム

40年前、当院開業当初は虫歯が原因の痛みや腫れを訴えて来院される患者さんが多くを占めていました。日が昇る前から歯科医院の前に順番待ちの札を取るための行列ができたのはそれより昔の話ですが、そんな「虫歯の洪水」と呼ばれる時代があったことをみなさんはご存知ですか?日本全国でそんな光景が見られたのは、歯科の研究も、国民への啓蒙も、すべてがまだ発展の一途にあり、国民自身の口腔内への関心も知識も不十分であったことが一因であったのでしょう。

時代は変わり、日本歯科医師会の「8020運動」を旗印に啓蒙活動が広がりを見せ、国民はインターネットや新聞、健康雑誌など様々な情報源から様々な情報を得て、口腔内に対する関心は飛躍的に高まりました。乳歯・永久歯共にう蝕既往率は順調に低下し8020達成者(80歳で20本以上の自分の歯を有する者)は2011年調査では45%あまりだったのが2016年調査で一気に80%にまで到達しました。

しかしそれでも虫歯はなくなりません。虫歯の治療は歯周病治療とともに現代の歯科治療においても最も多い治療のひとつです。

前置きが長くなりましたが今回は虫歯についてその原因と気になるその治療法について簡単に解説してみようと思います。

 

虫歯の原因

お口の中の清掃が不十分で細菌が歯の表面に残ると時間の経過とともに複雑な最近バランスを構成し、お互いが手をつなぎ簡単に言うとどんどん悪玉化していきます。この厚みを持った細菌塊をバイオフィルムといいます。バイオフィルムの中で細菌は成長増殖を繰り返しその過程で「酸」を作ります。この酸が歯を構成するミネラルイオンを溶かし出します。これを「脱灰」といいます。脱灰が進むと歯の表面は擦りガラスのように白濁し、さらに進むと穴が開いてしまいます。これが虫歯です。唾液には「再石灰化」といって脱灰により失われたミネラルを歯に再び取り込ませる力がありますがバイオフィルムがべったりついてしまっている歯の表面においてはこの力が及びません。

 

虫歯の進行程度による治療法

①虫歯になりそうな歯(CO)

初期う蝕と表現されることもあります。これは継続管理が必要な状態です。歯の生え際や歯にあるシワ部分など、磨き残しが出やすいところに現れやすいです。着色があっても表面が硬い場合や白く白濁しただけのところは高濃度のフッ素製剤を塗布することで再石灰化を促進したり、虫歯の進行を抑制したり、虫歯の悪化を防ぐことができます。しかし虫歯の進行を必ず防げるという保証はありませんから定期的な管理が必要です。

 

②小さい虫歯(C1)

一般的には無症状です。深さや広さにもよりますが、感染した部分を除去したのち、消毒を行ったところにコンポジットレジンと呼ばれる樹脂を充填します。1回の来院で治療が完了します。

 

③大きい虫歯(C2)

ある程度虫歯が広く深くなってくると冷たいものがしみるなど神経への影響が懸念されるようになります。具体的にはエナメル質を超えて象牙質の深くまで進行した虫歯の場合、感染歯質を除去した後神経が炎症を起こさないように深いところに保護材を置き専用の材料で失われた歯質を補います。

暫く経っても問題が生じなければ、金属やセラミックで虫歯の大きさにあった詰め物や被せ物を作ります。

 

④神経にまで到達する虫歯(C3)

神経にまで到達してしまった虫歯は強い痛みを伴うことが多いです。症状の程度やレントゲンなどを参考に診断しますが、神経が炎症(歯髄炎)を起こしていれば麻酔をして神経だけを取り除きます。さらに放置され、神経が死んでしまった場合は神経自体が腐敗をし、根の先に膿が溜まるとズキズキと夜も寝られないような痛みが生じるようになります。数回かけて神経の中の感染歯質や汚染物質を取り去り消毒をしたうえで神経のあった空間を無菌化し、隙間ができないように専用の材料で緊密に充填します。

その後、歯を補強してから、金属やセラミックで詰め物や被せ物を作ります。

 

⑤根より深くまで進行した虫歯(C4)

神経内部の感染はもちろん、歯を支えている根の素材自体が広く汚染された状態では残念ながら保存していくことが難しくなります。状況を見極めて患者さんと相談の上、抜歯となることもあります。抜歯となったところは義歯、ブリッジ、インプラントなどの方法で人工の歯を作り補います。

 

虫歯は進行すればするほど、例え治療を行ったとしてもその後の問題再発リスクが上昇してしまいます。つまり虫歯が小さいうちに治療を済ませることが歯の寿命を永らえる秘訣ということになります。もちろん虫歯にならずに済めばそれに越したことはありません。

歯周病にも言えることですが、月1回の管理ももちろん大切ですが、日頃のホームケアのほうがずっと大事だと思います。定期管理は問題がないことを確認してもらうための通院であって毎月通っていれば大丈夫というものではありません。問題点と課題は何か、ゴールをどこに設定するのか、かかりつけの先生と十分にコミュニケーションをとり二人三脚の口腔管理をしていきましょう。

次回は歯周病についてお話してみたいと思います。

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