今年は例年になく暖かい冬が続いていますが、
冬ですから気温は低く空気が乾燥しているのは当然のこと。
去年ほどではないように感じますが、この時期はまさにインフルエンザの流行期ですね。
インフルエンザ感染者は、例年推定1000万人といわれているそうです。
感染しない、感染させない、一人ひとりがしっかりインフルエンザ対策をしましょう。

お口の中の環境とインフルエンザ感染

さて、インフルエンザとお口の中の環境は実は密接に関連することが分かっています。

どのような関連があると思いますか?

インフルエンザウイルスは鼻腔や咽頭などの粘膜に付着すると、

まず細胞内に侵入し、侵入した細胞内で複製増殖をしてから細胞外に出てきます。

このサイクルを繰り返しながら体内でどんどんと拡散増殖していくわけですが、

口腔内の歯周病菌はこれらのサイクルを手助けする酵素(プロテアーゼやノイラミニダーゼ)を出すのです。

つまり、歯周病菌はインフルエンザ感染を重症化させるというわけです。

口腔内を不潔にしておくとインフルエンザの感染リスクが高まります。

特に免疫力の弱い高齢者は、インフルエンザが重症化する可能性があります。

ある研究*では高齢者に対する専門的口腔ケアにより

インフルエンザの発症が約1/10に抑えられると結論付けられています。

今新型コロナウイルスで世界中がパニックに陥りつつります。

あくまでも推測ですが、このようなウイルス感染も同様の手順で体内に入り込んでいるのではないでしょうか。

お口の中を衛生的に保ち、笑顔で食卓を囲み、しっかり噛める歯で何でもおいしく食べて、

十分な栄養を摂り、温泉で体を温め、しっかり体を休める・・・。

とまではなかなか現実うまくはいきませんが、

せめて口腔内のケアには時間をかけてみてはいかがでしょうか。

*口腔ケアによる誤嚥性肺炎予防 奥田克爾他 2005-04-30 歯科学報 105(2):129-137

この記事は日本歯科医師連盟ポスターより抜粋しました